「おいしい蟹」はどう選ぶ?
みなさんこんにちは、松栄丸広報室運営担当の藤田です。まもなくはじまる松葉ガニシーズンを控え、社長と船長に“おいしいカニ”はどう選ぶのか、お話を聞いてみました。
価格とおいしいは比例する?
松栄丸が漁獲する、松葉がにのシーズンは11月~3月。一カ月ごとにその価格は変動します。
蟹の質にもよりますが、もっともハイシーズンは12月、それ以外は1・2月、11月、3月の順で値段が下がっていきます。
値段が高ければおいしいのか、時期によって蟹の旬はあるのでしょうか。実際に船に乗り、厳しい冬の海から蟹を届けてくれる船長に聞いてみました。
ー船長、蟹って11月から3月の間に味の変化ってありますか?
船長:もちろんありますよ。私個人の意見ですが、12月から1月が一番味がのってくると思います。
ー味がのるタイミングがあるんですね。
船長:12月から1月は交尾の時期に向けて体力を蓄えつつある時期ですからね。とはいえ、11月も、2月から3月も普通に美味しいですよ笑。
蟹の交尾のタイミングが年末年始。体力もそのタイミングで蓄えているんですね。
船長:丘の上で、蟹の選別は社長が担ってくれています。もっと詳しくおしえてもらえると思いますよ。
決め手は、時期だけにあらず。
ー年末年始にカニが体力を蓄えると聞いたのですが、実際に味ものってくるのはそのタイミングですか?
社長:船長が言うように、漁期間の蟹はいつでもおいしいと自信をもってお届けしています。ただ、蟹も生き物ですから脂がのるタイミングがあります。
ー脂がのる……!
「茹で松葉がに」でいうと、全体的に脂がのってくるのは11月中旬から12月初旬です。これは船長が答えてくれた理由の通りです。でも大切なのはそれだけではありません。
ー……というと?
時期よりも大切なのが「漁場」とカニが獲れたときの「状況」です。それらを船長と海のスタッフに聞きながら、選別していくんです。外から見えない蟹の状態をそれで見極めます。
ーサイズや足がそろっているかどうかだけじゃないんですね。
社長:そうです。「茹で松葉がに」なら「このカニが茹でられるか否か?」というのも基準になります。身のつまりや味わいが影響しますからね。
蟹の選別は、信頼関係。
ー選別を一言で言い表すのは難しそうです。なにか社長ご自身の基準をもっていらっしゃるんでしょうか?
見分け方は細かく言えば技術的な部分です。それは経験で培ってきたとしか言えませんが、最後に思い浮かべるのは、いつもご贔屓頂いてる「仲買人さん」です。
ー仲買さんですか?
社長:この柴山は他の漁港に比べ、松葉がにを茹でて供給する仲買人さんが地域に根付いて卸商売を続けてこられています。設備投資を続け、世代交代もしながら、柴山の海をずっと支えてきてくださいました。
老舗の水産会社や全国各地の料亭へお届けされる仲買さんがいてくださるからこそ、私たちも安心して海へ出ていくことができるんです。
ー深い、信頼を置かれてるんですね。
社長:はい。だからこそ、必死に商いをしてくださる仲買さんやその先のお客様の「期待に応え続ける」それが我々の指針です。
細かな選別の基準はもちろんありますが、仲買さんたちの顔を思い浮かべたら、いい加減な判断はできません。
ー自分のことだけ考えるのではないんですね。
社長:「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の三方よしを常に心描いております。
蟹の選別もただ作業をするのではなく、仲買人さんやお客様をイメージしながら選別をする事が、松栄丸の信用信頼と魚価向上につながり、船長はじめ「海のスタッフ」とその家族を幸せにするものです。
取材で訪れた際に、限られた4~5時間の間に何百というかにを選別する姿を目にしました。その眼差しの中に、こんな熱い思いを秘められていたんですね。
柴山のかにが料理人から支持され、ファンが多いことに納得のお話でした。